昨日前から買おう買おうと思って先延ばしにしていたDJI POCKET 2を購入しました。
いつも一人で撮影するので困ることも多いですが多少は改善されると思います。(2カメだと編集時間かかるのですが…)
新しい盆栽園の取材などに役立ちそうです!依頼お待ちしております!(全国行きます)
では本題に入ります。今回は文人木についてです。
撮影でよくお伺いする藤樹園さんは文人が数多くあります。生徒さんでも文人好きな方が沢山います。
今回は文人とはなんなのか、文人とはどう作るのかを綴って行こうと思います。
僕が初めて文人と聞いた時の印象は「エモい」です。
言葉の響きとして、ノスタルジックで哀愁を感じます。
そもそも文人とは、
文人(ぶんじん)とは、中国の伝統社会に生じたひとつの人間類型であり、「学問を修め文章をよくする人」の意である。 なお、書家や画家を表す「墨客」(ぼっきゃく)を合わせて、「文人墨客」ということもある。
Wikipedia
中国の言葉で「学問を修め、文章をよくする人」を表すようです。
中国から入った文人と言う言葉が、日本でも江戸時代から馴染んでいき、文人文化を実現した人々が多数存在したそうです。
ですが、盆栽の文人木の由来は…
中国の南画に見られる様な樹形が発端。明治時代の文人達に好まれたのでこの様に呼ぶ。現在では、細幹で枝数少なく枝嵩も小さいものも文人木と呼ぶ。
Wikipedia
とのことです。
つまり文人木の由来は、文人を表す意味ではなく、文人に好かれたからそう呼ばれると言うことのようです。(上手い例えを探しましたが良いのが見つかりませんでした)
盆栽の文人木を指す木とは
細幹で時代の乗りが良く枝数の少ない、侘び寂びの情趣のある瀟洒な作り木の事を言います。
ポイントは「古い」「枝が少ない」「侘び寂び」ということです。
「古さ」が入ってくるため樹形と言う括りにも入れにくいですね。どこからが古いのかというのも曖昧です。
なのでよく文人調という言葉を耳にします。
樹形は文人だが、古さという意味で未だ満たないときなどに使われる言葉かと思います。
またこの様な樹形で育つ環境は厳しい土地となります。
中国の水墨画で描かれる黃山の風景です。
こんな岩肌の厳しい環境で育った木だからこその樹形なのですね。
僕の個人的な印象ですが、文人好きは玄人に多い傾向がある気がします。
枝数が少なく、古い木で、侘び寂びがあるわけですから、技術、お金(時間)、感性がなければ手が出せないわけです。
やっぱり我々初心者は模様木を作りたいし、花物、実物も楽しみたいし、小品盆栽から始めたいです。
文人木となると古いですから大きいものも多いですし、育てるには時間がかかるし買うとしても高めのお値段…。(そもそも魅力がイマイチわからない…)
そう思う方が多いのではないかと考えます。
やはり色々な盆栽を経て最後に辿り着くのが文人木ということになるのでしょう。
裏を返せば、我々初心者も文人好きを語れば玄人っぽく思われる!
通っぽく見せたいというのは全ての初心者が持つ願望です。(たぶん)
続いては通ぶりたい人の為の作り方を学んでいきましょう。
動画でもご覧いただけます。
作り方といっても、樹形としての文人木についてです。
古くなければ文人じゃないわけですから、文人調です。しかし時間が経てば文人木と呼べるようになるのでしょう。
ポイントは、「細く」「枝数が少ない」という点です。
以前動画でもありましたが、文人木は究極枝3本でも作れるわけです。
通常は一の枝二の枝とありますが、頭、裏枝、差し枝の3本で作ります。必ずそうしなければいけないという訳ではありませんが、枝数を少なくするので残す枝は意識しなければなりません。
且つ、枝数を少なくすることで木を細く維持しやすいという役割もあります。
詳しくは動画で御覧ください。
次に文人に適している木と言われているのが赤松や五葉松です。
時代が乗りやすい幹肌と、細く作れる木という理由ですね。真柏だと古さが出にくいという訳です。
まとめると、
適した樹種を選んで、枝を減らし細く作る。あとは古くなるのを待つだけです。(あら意外とかんたん)
とは言っても、「侘び寂び」という部分で魅力を引き出せない可能性もありますね。
そこは皆さんのセンスでカバーしましょう。まあ良い木を真似ればいいわけですが笑
藤樹園園主の濱野博美氏による文人盆栽についての文章を掲載致します。
盆栽のプロ中のプロからみた文人についてのお話です。
文人盆栽
藤樹園 園主 濱野博美我が国は四方を海に囲まれた島国である。
国土の4分の3が山々で一年を通じて四季折々の変化に飛んだ緑豊かなロケーションを津々浦々で満喫することができる。
このような恵まれた環境の中で、盆栽文化も自然との共生の中で育まれてきた。
一歩山野に足を踏み入れれば、深山幽谷の別天郷にふさわしい木々がそこかしこで散見でき、 まさに自然が教科書のようだ。
本日は、文人調の盆栽について研究してみよう。▼文人木の条件
一、幹は細く、肌が古いこと。
一、よく薄皮で小ひびに荒れていること。
一、全体から古さがにじみで、キズもなく
一、葉性、根張りも申し分ないこと▼文人木の作り方
枝作りは抜く枝、その枝の枝と共に細かく墨絵風に作り込む。
若木は文人木とは云えず、小枝の先まで荒れて初めて文人木と呼ばれている。▼文人木の鉢
鉢は浅く丸鉢を用いる。
外縁の鉢は重く派手で樹とは合わない。
南蛮風に鉢が似合う。▼文人木の飾りについて
書の世界、茶の世界と共通点 教室においてはいきなり文人木に入るのではなく、
最初は若木から古木の端正なものを手かけ、それを踏まえて軟調子のものに変化し、 軽妙、洒脱なものにすすんでゆく。
これに到って盆栽芸術の真髄に触れることができる。
すなわち「わび」「さび」等、枯淡の境地・風雅の世界に導かれる。▼飾り付け
卓、地板等は垢抜けたものを用いる、
卓 無飾りのもの
地板 薄めのもの
これらの条件が満たされたとき飾り面において真髄を味わうことができるのである。▼最近の文人木について
一、細かいこと、下枝はできるだけ外す。
一、枝は極力外す。軽いタッチのもの
一、クイツキ木に仕上げること
一、浅い鉢に入れること。できるだけ丸鉢以上
現代盆栽思考
文人の定義だけでなく、合わせ方も記述されていて非常に参考になります。
文人木を使用した動画は非常に多いのですが、中でもお気に入りの動画をいくつか掲載します。
という訳で今回は文人木についてでした。
そろそろ文人に手を出したい方や、文人作って通ぶりたい(僕のような)方の参考になれば幸いです。