展示会などで飾ってある盆栽を観て、
「素晴らしい!こんなの我が家にあったら最高!」と思ったことはありませんか?
今回は盆栽の飾り方についての記事を書いていきます。
しかし、展示会に出すのは盆栽ユーザーの中でもガチ勢の分類に入るかと思います。
我々にわか盆栽ユーザーは展示会とは無縁。
作品展のお誘い受けましても、ミニ盆栽とファミコン盆栽ぐらいしか持っていない僕にはハードルが高いです。
今回は、お家にお客様が来た際に盆栽を飾る。または自分の働くお店に飾るなど、
生活の中で盆栽を飾る際に役立つ、盆栽の飾り方の基本についてのお話です。
盆栽をお家に飾るとどんな事が変化するでしょうか?
お部屋の中に四季折々の木々を飾り、春なら桜、秋は紅葉などその季節にあった木を飾ります。
日本と言う国は、四季がはっきりしており生活する以上、季節の移り変わりは切り離せない、直結したものでした。
常緑の観葉植物も良いですが、盆栽を飾ることは、俳句のように少ない文章の中に奥行きを生み出す「季語」のような存在ではないでしょうか。
暮らしの中に季節を感じさせることが出来るというのは、我々日本人にとってうってつけのインテリアです。
また客人を招いたときも、
「あゝ紫陽花ですか、もうそんな季節ですね」など話題になりますし、季節に応じた木を飾っ持てなしてくれた「出来る人」「奥行きのある人」という印象が付きます。
また自分の得意分野の話に持っていけますし、コミュニケーションを取りやすくなるでしょう。
ビジネスにも役に立ちそうですね。またはママ友に一目置かれるかもしれません。
盆栽が人に喜ばれ好印象を持ってもらえる趣味になり得るわけです。盆栽のアウトプットですね。
道具についてですが、今回のテーマは「お家に飾る盆栽」ですので細かいことは気にしなくて構いません。
最悪使わなくても良いですが、使ったほうが飾りやすいことは確かです。
理由は単純に見栄えが良くなる事や、盆栽の高さを変更出来る点です。お家に飾るときも、上手に使うと品格が増します。
一般的に展示の際に使う道具に付いて軽く触れておきます。
卓とは簡単に言えば飾り台です。
一般的には木製で、木材の種類や漆仕上げや造形などで盆栽に合わせて選択されます。
高さによって平卓、中卓、高卓と分けられています。
地板とは簡単に言えば敷板です。
盆栽の下に敷く板ですね。飾る際に低く見せたいときなどに使用され、木だけではなく陶器なども使われます。
様々な種類がありますが、目的は盆栽を引き立たせることです。
個人的には鉄や銅でもいいと思います。(ただその場合卓も同じ金属になるかも…)
ホームセンターなどの材料で自作しても面白そうですね。
では実際に盆栽を飾って見ようと思った時にどんな事に注意すればよいでしょうか。
まずはここを押さえておけば取り敢えずOKという6項目をざっと箇条書きにしてみます。
季節に合わせた木をきれいな状態で飾ります。
俳句の季語などと同様に季節という情報を入れることで奥行きをもたせるイメージです。
その季節が見どころの木だと、夏が困りがちですが松柏類のような常緑樹を使用して上手く組み立てましょう。
2のきれいな状態とは、針金は極力外し、幹汚れや雑草など取り除いておくということです。
3以降を少し掘り下げて書いていきます。
飾る盆栽は基本的には複数になります。「主木」と「受け(添え)」と言われるものです。
主木はメインとなる木、受けはそれを引き立たせる木です。
なのでメインが黒松だった場合、受けも黒松だと引き立ちませんよね。
基本的には主木に対してコントラストが付くような木を選びます。静と動のようなイメージです。
盆栽はそれぞれ流れを意識して作ります。
木を飾る際に主木が左流れであれば右側に配置し、受けは右流れのものを左側に配置します。
お互いに向かい合うように配置するわけです。
主木から目が行き、右から左へ、左の添えを見て右へ、中央に配置した下草で流れを止める。これが3点飾りです。
方向と3点飾りについてはコチラをご覧ください。
3点以上は奇数というのは、以前寄せ植えの記事でも触れていますが、
盆栽の場合メインとなる主木があるので、2本より3本、4本より5本のほうが主木が目立ちやすく全体がまとまって見えるような配置が組みやすいといった感じですね。
寄せ植えは「心」。盆栽の寄植えの基本を動画で学ぼう
飾る場合も同じ考え方に当てはまるようです。
つまり主役となる盆栽がありそれを引き立てるという構成にするということですね。
飾り台もそうですが、鉢も飾りの印象を大きく左右します。
同系統の形状ですと、主木と添えで強弱を付けたのに薄くなる場合があります。
例えば、力強い主木は存在感のある四角い鉢で、柔らかい受けは優しい印象の丸鉢にするなど主役である盆栽や、構成の意図を考え選択するということですね。
色に関しては、全て同系色という飾り方は個人的に面白いと思いますので書かないでおきますが、やはりコンセプトに反さないよう意識したほうが良さそうです。
盆栽を飾る意味は、楽しむこと、そして楽しませること。
この盆栽の花が綺麗に咲く頃に、この木と合わせ、この鉢この飾り台など、ファッションのように楽しむことが出来ます。
飾りを見た側は、季節に合わせた見どころの盆栽を楽しむ事ができ、その一時の美しさの裏にある年間をかけ育て作り上げた労力を感じます。
日本らしい奥ゆかしいおもてなしですね。
盆栽を飾ることでおもてなしする事も重要ですが、もてなされる側としても相手の気持ちを受け取ることが大切なのではないでしょうか。
今回は盆栽の飾り方について書いていきました。
形式だった決まり事も大切ですが、一番大事な事は相手をもてなす為の手段だと僕は思います。
盆栽を飾って、お客様や友人だけでなく家族もおもてなししてみてはいかがでしょうか。