盆栽展示会2.0 ~既存の展示会の疑問点を改善し、人を呼ぶ展示会を考える~

盆栽QWEBSHOPに商品が(大量)追加されました。ここが僕の活動資源です。買ってください笑

この記事は途中まで書いて放置されていた記事です。(長文です)

内容がちょっと今の展示を否定するものになりかねないなと思いましたが、別の形の展示もあっていいのかな、むしろあった方が良いのかな。じゃあ、どんなものがあるのだろうという内容です。


先日、立春盆栽大市の撮影に行きました。

撮影日はプレオープンだったので国風展には行けていません。昨年はコロナの影響でかなり空いていましたが、今年はどうだったんでしょうか。雪も降ったのでちょっと心配です。

立春盆栽大市ではたくさんの業者さんとお話しすることができ、非常に楽しく撮影が出来ました。

失礼ながら業者さんは見た目が強面な方が多く、毎度ビビりながら話しかけます。

ところがどっこい皆さん良い方ばかりで、話しかけた後は心がほんわか良い心地になります。動画の影響で沢山話しかけられるそうで喜んでいるという話を聞きました。安心しております。

今回は国風展もありましたし、展示会について書いていこうと思います。

盆栽業界は少しですが変革の兆しがあると感じています。業界全体が変わろうとしていると。

個人で業界に飛び込み、動き回っている僕が感じるのだからたぶんそうでしょう。変わろうとしないならば僕のような異分子は首を掴まれ追い出されていたかもしれません。

業界が変わろうとしている中で、変わってないものの1つが展示会です。

今回は今の展示会の疑問点と改善策をハイボール片手に綴っていきます。酔っぱらいの戯言ですので深く考えず、素人がバカ言ってらーという目線でお楽しみください。

今の展示会の形と疑問点

なんで樹を見せてやるのに、こっちが金を払わなきゃいけないんだ

盆栽園に入り浸り、愛好家さん達との会話の中でこんな事を言っていたのが印象的でした。

初めに言っておきますが、僕は展示会に出したことはありません。

ざっくりこんな感じかなという予想も含まれるので誤った点があればご指摘いただければ修正いたします。

展示会に出すには、盆栽園さんが加入する組合などの展示に席料を支払って展示をする。参加者の見返りは出品した木や受賞した木の価値が上がる、自分の名前が売れる技術力の向上という認識です。

教室などに通って「そろそろ展示会に出してみたら?」、盆栽を預けている盆栽園から「この木展示会出してみる?」といった形で自己満足でやっていた愛好家が一歩前に進む為に、展示会という形式が取られているのかなと。

盆栽は人に見せるもの。だから針金掛けも綺麗にする。そんな意識を展示会に参加すること身に着けることが出来るかもしれません。

愛好家の中でも、有名な展示会に出品するとなれば一目置かれますし、受賞してしまえば盆栽界のトップランカーに格上げするような感覚を味わえます。

しかしここ疑問点です。

無料で何でも調べることができ、月額数百円で映画やアニメが見放題のこの時代に”展示会に行く側”のメリットはあるのかなと。

見る側も飾りの勉強になりますし、良い木を無料で観れるわけで至れり尽くせりのイベントだと感じます。

しかし、心を鬼にして言わせていただきますと、エンターテイメント的には物足りない。良い映画を見た後の様な心地いい帰り道を味わえる気がしません。

なぜならネットやYouTubeで良い盆栽は見ることが可能です。生の迫力は勿論ありますが、良い木なら盆栽園さんでも沢山見ることも出来ます。

また、飾りにもルールが多く予想がしやすい。型破りな展示を見る事がほぼ無い。

多くの愛好家も足を運ぶのは年に1,2回程度でしょう。つまり国風展の様な大きな展示会以外はほぼ行かない。近くでやってたら散歩がてら行ってみようかな…程度だと思います。

開催しても客足が遠い、しかし物販をしている訳ではないので成立はしている。

これがどうしても引っ掛かります。

展示会のビジネスモデルを考えよう

さあ、食い込んで考えていきます。あくまで僕の憶測や予想ですので、アラフォーの独身男が酔っぱらって言っている戯言と認識してくださいませ。

展示会のビジネスモデルは、席料での利益、盆栽園の利益または教室や会などの活性化と予想します。

席料とは展示する場所代を参加者で割っていき会場代を支払う為のものですが、貸し出す場所を誰が所有するかで利益を得ることも可能です。

盆栽園の利益は、展示用の木の販売、展示のための作業費、または卓などの貸し出し、輸送費、所属する組合の展示であればキックバックもあるのかもしれません。(マジで憶測なので本気にしないでね)

教室や会などの活性化は、1つの目標を作ることで士気を高めたり、生徒のレベルアップができたりします。

業者と参加者でWINWINな関係ではあると思います。ただし、若干業者側に利益が偏っている気がします。理解して出している方にとっては問題のない形です。

しかしビジネスならば、3方向に考えなければいけません。展示会に行く側”のメリットはどこにあるのでしょうか。

改善点があるとすれば、参加者にもう少し利益を作る。

そして、お客さんにも行く理由やメリットを作る。

の2点で良いかなと考えました。

展示会をどう変えればより人を集められるか

若干批判的な意見に取られる可能性もあると思いますが、展示会が業者の利益になるのであれば盆栽Qの3つの目的にもあるように応援をしたいです。

もともと写真家やってましたので多くの個展などを観てきた僕がこうなればもっと人の集まる展示会が出来るのではないかという提案をさせて頂きます。

展示会を改善する目的は、

  • 来場者を増やす
  • 参加者に利益を増やす
  • 周るお金の量を増やす

の3点です。3つ目にお金が出てくるのは利益を増やすことで展示会をやる理由を増やし、全国で自主的に開催し、盆栽の普及と愛好家のモチベーションを上げる為にもあったほうが良いかなという理由で追加しました。

もし関係者様が観てた場合、参考になるようになるべく具体的に書いていきます。

1.展示に力を入れる。

盆栽の展示会に行くたびに思う事は、とにかく照明が悪い。蛍光灯の場所も多いです。

大きな展示会でも照明が悪く、せっかく良い木なのに勿体ないと感じます。

有名な美術館などでみるアート作品は皆照明に力を入れます。良く見せるために最も重要だからです。しかし、光はタングステン(オレンジ)とデーライト(青)が混ざっていたり、スポットライトの位置がおかしかったり、背景にパーテーションの繋目があったりと、良く見せるための工夫が足りないと感じます。

なぜそうなったかも予測は出来ますがさておき、

・照明の色温度(オレンジ~青)を合わせる。

・1展示に対しトップと両サイド最低3灯以上設置する。

・背景は継ぎ目のない白に統一する。

など各展示会毎に規定を設ければ良いと思います。

2.展示する木にストーリーを持たせる

いわゆるキャプションです。絵画などの横に添えられている文章などですね。

こんな時代にこんな人がこんな思いで作ったのか!と知ることで作品の付加価値を高めるためのものです。これを付けましょう。

キャプションの内容は5W2Hで作ります。

  • When(いつ?)
  • Where(どこで?)
  • Who(誰が?)
  • What(何を?)
  • Why(なぜ?)
  • How(どうやって?)
  • How much(いくらで?)

こんなやつです。詩を書くが得意な人は書いても良いですが、どんな人が書いているのか分からない詩を読む時間を勝ち取ることは困難だと思います。

木に背景を持たせることで、より関心を持たれますし、滞在時間も増やせます。

しかし盆栽は譲り受ける物ですから、そこまで多くの情報が無い場合も多いと思います。

そんな時は、木の制作過程を動画にして木の横にタブレットで置いておくだけでも良いです。音は無い方が良いです。(各飾りで音出したらうるさいのですし)

いつ、誰が、どこで、どんな木を、どうやって、作ったのか。それを知ってもらいましょう。あとは勝手に来場者が想像してくれます。

3.滞在時間を延ばすための施策を打つ。

2にも通じるものがありますが、滞在時間を延ばす事には大きな意味があります。

滞在時間が長い=居心地のいい場所=満足度が高い。という事です。どんなお店や施設でも行う施策です。

若い頃は1つの写真展で何周も周り目に焼き付けていました。写真に対しての情熱だけではなく、滞在時間を長くするための施策が打たれていたからです。

ここも箇条書きで書いていき出来そうなものだけ取り入れるのもいいかもしれません。

  • 導線を考える
  • 単調にならないようにブロックごとにコンセプトを決める
  • 座って制作過程を上映する休憩スペースを作る
  • 参加型のイベントを作る

などかなと思います。2のキャプションも滞在時間を延ばすためには良い施策ですが、単調になるのでブロックごとに色分けし、ブロックごとのキャプションだけでも読ませるように仕向けるのも良いと思います。

観てるだけではなく情報の共有と飽きさせないための仕掛けを作ることが大事だと思います。

1つ1つ書くと長くなるのでざっくりですがこんな感じです。

4.キャッチコピーをつける

単純な話ですがキャッチコピーがあれば行くきっかけを作れます。

例えば、「第96回国風盆栽展」よりも、

CATCH THE FUTURE ~第96回国風盆栽展~」のほうが、未来を掴む⁉今年の国風展は何かが違う⁉と想像と期待をしやすいです。ポスターもカッコいいのできそうですし。

進化する「盆栽」の真ん中に~第47回雅風展~」のほうが興味を持ちます。

大きい展示会では急に追加するのは難しそうですが、地方などで行われる小さな展示会の場合は、それがどういう展示会なのかを知ってもらうためにもあったほうが良いです。

たとえば、

普通の盆栽教室の展示会でも、こんなポスターなら「なんか面白そう」と思えるし、内容も伝わりやすいかなと思います。

重要なのはキャッチコピー(コンセプト)があるから期待値が高まる。しかしコンセプトに沿わない展示であればリピーターにはならない。という事を理解し考えたほうが良いという事です。

5.受賞した際のメリットを明確化する。

ここまではお客さん側の目線でしたが、ここでは参加者へのメリットを考えます。

良い環境で展示して付加価値が付いた盆栽は、過去一番の高値になっているはずです。買えるようするのも良いと思います。主催者側にも%を支払うことで、売りたい人にも主催者側にもメリットはあるはずです。

でも売りたくない人の方が多いと思います。「大事に育てた木の晴れ舞台!うちの子観てやってください!かわいいでしょう⁉」という気持ちで出している方です。

そんな方は、自分を売りましょう!

○○賞を受賞した木を作ったのは私です。と大手を振って言える場所を作ることが大事です。

雑誌に10ページの特集を組んでもらえるだとか、賞金100万円だとか、個人の展示会費の負担などの副賞を作ります。

つまり受賞した際に得られるメリットを利用して名前を売り、ビジネスに転換しやすい環境を作ることが出来れば参加者のモチベーションになるはずです。

賞を獲ったら有名になれる!有名になったら好きな事で食べていける!そういったチャンスの場にすれば良いのではないでしょうか。

若手でも腕があれば有名になれますし、年配の方でも定年後開業もしやすい。プロ級の腕を持つ全国の愛好家が参加しやすくなるようなメリットを作りましょう。

盆栽をアートとみるのであれば、プロアマの垣根はないはずですし、本当はルールもないはずです。競争率が高くなれば、注目される為に試行錯誤し、新しい盆栽のスタイルも生まれるかもしれません。

そもそも、賞があるのであれば展示会ではなくコンテストです。

名前も「」から「」に変えたほうが良いのではないでしょうか。

6.集客をしたらマネタイズしよう。

せっかく人を集める施策を打ったのであれば、お金儲けすれば良いじゃない。という章です。

お金の話になると拒否反応を示す方も多いと思います。

俺は金の為にやってねぇ!この銭ゲバ野郎!と罵られるかもしれません。

しかし、日本は資本主義社会。金持ってる人が主導権を握れる社会です。外国へ行け。

言い換えれば、お金があれば盆栽界を変えれます。僕が億万長者なら3年で盆栽ユーザーと売り上げを数十倍にできる自信があります。(だれか1億円貸してください)

盆栽業界が経済的に明るければ、新しい層が増えますし、企業も参入しやすく、貴方の行っていた盆栽園も潰れることは無かった。継ぎ手がいない園も減るでしょう。

業界にお金を入れることが、盆栽業界を救う最善策です。

という事でご納得ください。

さて展示会でのマネタイズですが、今回は人が集まる前提で考えます。

  1. スポンサーを付ける
  2. 物販をする
  3. 教室や園への誘導する
  4. 入場料を取る

ぐらいしか思いつきませんでした。ただ考え方はちょっと違うかもしれないです。

1.スポンサーについては、探すことが非常に難しい。投資をする企業も費用対効果を疑うでしょう。ただし、人が集まる前提の話であれば、デパートや、市の施設などを無料で借りることは出来るかもしれません。

また、製品を売った利益を得る企業コラボなども良いかもしれません。例えば地酒です。

オフシーズンの酒蔵を会場にして地酒を味わいながら鑑賞できる展示会など話題になりそうです。

これで最低席料は無料でできるのでないでしょうか。

なんで樹を見せてやるのに、こっちが金を払わなきゃいけないんだ」とは言われません。

続いて物販誘導です。

沢山集客しているのですから物を売りたいです。木や盆栽道具。初心者向けのセットや本など。

販売が出来るスペースがあれば良いですが、無い場合もあると思います。そんな時は園や教室に誘導します。未来のお客さんを捕まえましょう。

この時ビラを配るのはあまり良くなくて、ラインやFacebookなどコミュニケーションできるツールを使います。教室の雰囲気が分かったり、Q&Aに答えたり、生徒の作品を掲載したりすることで持続的に販促が続けられます。

年間5人ずつ永続するお客さんを作れば盆栽園は潰れないと思います。コツコツですが大事な活動かもしれません。

続いて入場料をとる。

ほとんどが無料の中、お金を取るならばそれ相応の展示が必要です。自信がある人はやってみるのも良いでしょう。

その際に提案したいのが、既に入場料を取る施設で展示会をする方法です。

美術館や植物園など入場料を払うシステムの中に展示をすることで、盆栽ユーザーからも不満なく入場料を頂くことが可能です。

問題点があるとすれば、企画書を作成し、利益の交渉が必要になること。またそこで開催する必然性をお客さんに理解させることです。(ちょっと難易度高め)

ただし集客が上手くいった際には見返りも大きく、1のスポンサーの話に通じます。

とこんな感じでマネタイズですが、ちょっと出来る事が少ないです。

というわけで#7へ続く。

7.個展をしよう!

参加者のメリットは自己満足売名事業への利益と考えるのであれば、自分でやる方が利益を最大化できるではないか。という章です。

そもそも、アマチュアばっかりの展示会が多く、プロが開催する展示会が少ないです。

やってる方も何人かいますが、作家であれば自分の作品を見せる場を設けるのは当然です。失礼ながら個展を開いてない、作風展などにも出していないのであれば、盆栽作家とは呼べないのじゃないでしょうか。

写真の世界でも、カメラマンと写真家(作家)の違いがごっちゃになっている人が多いですが、写真で飯を食っている人=カメラマン。写真表現で作品を作り評価されている人=写真家。というジャンル分けがあったりします。

「写真家やってます」っていう人に、「受賞歴は?」と聞いて有名なコンペを答えられなければ、ただのアマチュアです。(ちなみに僕は写真新世紀の受賞歴があるんですよドヤ)

つまり、自身の作品を公の場に出し評価される事で「作家(アーティスト)」と言えるのかなと思います。

しかし盆栽の世界では、所有者と作り手が別の場合が数多くあり、受賞した際に名前が出るのは所有者です。なので革新的な木が合ったとしても「すごいけど、この人が本当に作ったのかな」と考えてしまいます。

今の展示会のビジネスモデルが所有者を中心として作られているので、所有者に利益を作るために作者の名前が出ないからです。しかし作ってない所持者はお金持ちで凄いと思っても、作家として凄いにつながりません。馬主に近い感覚です。

この盆栽は○○園で作ったんだって、じゃあこの人かな?という遠回りをしなきゃいけない。もしかしたら所有者が作った可能性もあります。

これから盆栽を本業でも副業でも始めたい人にとって、自己満足売名事業への利益に繋がっているのかは疑問です。

前置きが長くなりましたが、個展について考えてみましょう。

個展のメリット

  • 自身の作風を見せる場所が作れる
  • 盆栽を売る場所が作れる
  • 人とつながる
  • 依頼がくる

基本的にはこんな感じです。

展示会のように作風を決められることがないので、自由な発想で作品展示できることが大きなメリットです。作品のオリジナリティを作ることで他者との差別化ができます。

また場所も自由に決められるので自分の作品が刺さる世代が集まる場所を決められます

プロアマ問わず開催することができますし、コンテストがない盆栽の世界では若手や素人が這い上がるための良い手段だと思います。

受賞歴がなくても開催した回数が作家の実績になりますし、顧客もつかみやすいです。

アマチュアでも個展をしてしまえば盆栽作家を名乗れますし、今ある盆栽の販路以外から集客ができる。作品を売りにする人、あたらしい発想の盆栽を作りたい人は個展をすべきだと考えます。

とは言ってもかなりリスクが高いです。

場所、作品、展示を個人で持つのはかなり厳しいし、成功例を聞いたことがないです。

SNS、クラウドファンディングなどですぐになんとかできる物ではありません。ここの方法も書いてこうかと思いましたが、「こんな長文の記事誰が読むんだよ」って思い始めたのでここの攻略法はまたいつか書こうと思います。

ただ、リスクを減らすことを第一に考えるべきだとは書いておきます。そして展示を今までの盆栽でやらなかった方法をすることが大事です。

絵でも写真でもそうですが、作家は売れるまでは貧乏です。売れるために個展を開きます。

売れればオンリーワンになるわけで、マネタイズは言うまでもないのかなと。

まとめ

だいぶ長くなりましたが一言でいうならば、

盆栽のポテンシャルまだまだこんなもんじゃないぞ

ってことです。「こうじゃなきゃいけない」「こうあるべきだ」と言って進化を妨げないでほしい。

古い木には古い鉢じゃないと合わない。とか言いますが、軍人が花を持つ方が絵になるし、子供が古時計持っている方がストーリーがあるじゃないですか。

固定観念を捨てる、人と同じを嫌う、自分の表現を信じる、そういった人たちが盆栽以外のアートでは変化をもたらし進化してきたのだと思います。

今変わろうとしている盆栽界で、常識をぶっ壊す未来のカリスマがこの記事を読んでくれていたらいいなあ…などと思いつつ、新しい盆栽の展示会が生まれることを期待しています。

盆栽Q展も近い未来にやろうかな。

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